お見舞花の近況と今後

平成28年11月9日(水)14:00~ 愛知名港花き地方卸売市場

医療機関におけるお見舞花持込対策研究会会長 名港花き需要拡大推進セミナー事業部会長 粟田薫夫


従来、入院されている方へのお見舞いの定番といえば、“お花”でした。ところが、最近は感染症のリスクを避けるためという理由で、一部の病院でお見舞い用の生花持ち込みを制限する動きがあります。大阪では病院へのお見舞花のお届けが病院側の受け取り拒否が多く、花店はたいへん困っています。そこでそのようなことが全国に広がらないようにと名古屋へも病院の対応について調べてほしいと依頼がありました。そこで愛知名港花き地方卸売市場において各病院に電話で状況を聞きとりまとめられました。それ以降、病院とお見舞花についての各種セミナーが各地で行われるたびに、名花協で立ち上げた「医療機関におけるお見舞花持込対策研究会」として参加し、資料の収集に励み、研究を継続的に行っています。

本日はその成果としての資料のまとめを発表し、今後の見通しと理想的なお見舞花の販売を名花協として図りたいと思います。

きっかけは、平成27年2月25日(水)、大阪の花博記念公園鶴見緑地 花博記念ホールで行われた「お花と病院」セミナーでした。そこで岩田健太郎先生(神戸大学医学部付属病院 感染症内科診療科長)が以下のような講演をされました。

感染症とは微生物が引き起こすものである。微生物が感染経路を通って体内に入らなければうつることはない。社会生活をしていれば感染症になるリスクは必ずある。むしろ、病院はそのリスクが高い。しかし、感染経路を遮断すれば感染することはない。

花には微生物が付いているため感染症のリスクはある。しかし、花瓶の水に感染症の原因微生物がいたとしても、花瓶の水を飲んだり、傷口につけて放置したりしない限りうつることはない。

次に、平成27年11月15日(日)緑区の南生協病院で行われた「花と緑の生理的リラックス効果セミナー」に参加し、宮崎良文先生(千葉大学環境健康フィールド科学センター 副センター長)が以下のような講演をされました。

花(バラ)を見せてリラックス効果を測定したところ、ストレスが25%軽減されリラックス度が24%増加した。花を見て血圧が高くなった人と低くなった人の両方が現れた。もともと高血圧の人は血圧が下がり、低血圧の人は血圧が上がったのである。つまり、個花と緑をみることでより正常な状態に近づくことになる。

また、今年の3月6日(日)静岡で行われたシンポジウム「病院にふたたび花を」にも参加しました。

さらに7月9日(土)松本で行われた国際フラワーフォーラム2016「医療・福祉活用セミナー」では、「認知リハビリテーションにおけるフラワーアレンジメントの導入効果」という望月寛子先生のお話を聞いてきました。そこでは新たな可能性として、脳障害を負った患者さんのリハビリにフラワーアレンジメントが効果があるというお話でした。そこで名花協でもリハビリキットの特許使用許諾を申請しました。次回のセミナーではリハビリキットの紹介ができると思います。

資料としてはお配りしたものをお帰りいただいてからでもお読みください。大まかな説明と今後の展望について今から発表します。

いくつかの資料から読み取れることは、医学的に見て花が患者さんの病気に悪い影響を与えるということは、通常の扱いでは全くないということが結論です。何らかの濡れ衣を花に与えられたか、間違った科学的根拠のない意見が世間にまかり通ってしまったと考えられます。名古屋でも数十年前に名大において院内感染が原因であった事例に花が原因であったような報道がされたことがあります。

近しい人が病気で入院した場合、お見舞に行くとき何か心を和らげるものとしてお花を持って行くことが多かったです。病気によって食べ物は食べられなかったり、果物であっても制限されたりすることが多いと考えられます。その点お花は病気の方であってもそれを見るだけで癒しとなり、心も体もリフレッシュすることができる唯一のお見舞品といえます。そこで心のケアを考え、穏やかな気持ちで病気に向き合い、健康を取り戻そうとする患者さんに一番癒しと勇気を与えるものとして、もっとお花を活用してはどうかと思います。病院によっては患者さんの病室に飾るお見舞花以外に入口受付などに花が生けてあったりして、その効果は病院側も認識しているように思えます。

「医療機関におけるお見舞花持込対策研究会」では近隣の病院を訪問し、お見舞花の現状を聞き取り調査しています。今までに、中川区の坂種病院、中村区の城西病院、昭和区の八事日赤病院を訪問してきました。病院を訪問して共通しているのは、会っていただくのは院長や事務長で、話をすると「花を持ってきていただいてもいいです」と言われます。しかし実際は、現場の看護師が水替えなど管理が大変だという理由で断られてしまうのです。

そこでいかに管理を減らしていくかということがテーマになります。今年の3月にうかがった静岡で紹介されていた「メンテナンスフリー切花」(するが花き)はプラカップにゼリーと延命剤などを入れてふたをし、花を生けるという仕組みで水替えをしなくてもよくて、ゼリーなので倒れてもこぼれにくいという物です。現在、名港フラワーブリッジで花持ちの試験中なので後でご覧になってください。

これらの問題は花業界だけでは解決できないと思います。医療現場と意見交換を行いながら、「病院にふたたび花を」目指しましょう。